このページではリー・モーガンのサイド参加盤の1960年までを掲載しました。「新宿JAZZ談義の会」では、リー・モーガンの1960年の作品を前期ととらえ、Best5はその中から選定していますが、この時期のサイド参加作に関しても(リーダー作に比べて膨大な録音がありますが)、同様にひとまず1960年までを前期としてレビューしています。
リー・モーガン ディスクガイド 目次 Lee Morgan おすすめCD 案内
→リー・モーガン リーダー作 ① (前期) デビューから60年までBlue Note 前期
→リー・モーガン リーダー作 ② (後期) 62年以降 サイドワインダーなど
→リー・モーガン リーダー作 ③ (後期)67年から最終作品まで
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ① 56年~57年 ブルートレインなど
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ② 58年~59年 メッセンジャーズ時代
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ③ 59年 メッセンジャーズ 訪欧ツアーなど
→リー・モーガン サイド参加作(前期) ④ 60年 引き続きメッセンジャーズ主体・・・このページ
→リー・モーガン サイド参加作(後期) ⑤ 61年~63年 3管JM ライブ・イン・ジャパンなど
→リー・モーガン サイド参加作(後期) ⑥ 64年~66年 マクリーン、モブレーなどと共演
→リー・モーガン サイド参加作(後期) ⑦ 67年~72年 コテコテ系もあり
1959年?
Roulette
おすすめ度
hand ★★★☆
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p),Jimmy Rowser(b),Art Taylor(ds)
アナログ時は、「ベスト・オブ・バードランド」として、コルトレーンとモーガンが片面ずつだった。さらにその前があり、箱入り2枚組で、もう1枚分サド・ジョーンズ他がついていたらしい。CD化でサドまで3セッションが1枚に入った。タイトルからして、バードランドでのエアチェックだろうと長いこと勝手に想像していたのだが、立派にスタジオ録音であった。モーガンのセッションは、JM在籍時だが、ドラムを親分ブレイキーから同じアートだがアート・テイラーに変え、ベースも同じジミーでメリットではなくロウサーに変え、モーガンをリーダーに吹き込んだものだ。ブレイキーがいるかいないかで雰囲気は変わる。VeeJay の「ケリー・グレート」、「イントロデューシング・ショーター」からJMの「アフリケーン」などを経てモーガンとショーターがかなり伸び伸びと吹くようになっていて好感だ。ティモンズがケリー風の弾き方をしている。3曲計で16分半しかないのは残念だ。②マイナー・ストレインはいい感じ。コルトレーンのセッションはアトランティック盤と雰囲気は似ているが、ドラムがエルビンではなくビリー・ヒギンズなのでタイトだが重量感は弱い。サドのセッションはスモールビッグバンド的なセプテットでニューベイシー風の演奏だ。(hand)
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b),Art Blakey(ds)
ショーター加入で最初の2曲は新主流派風のショーター曲、次の2曲はビル・ハードマン、ティモンズ(キャノンボールでも演奏したダット・デア)の従来型のファンキーな名曲。5曲目レスター・レフト・タウンは、ショーター作のこの盤のキラーチューンで、従来型の雰囲気も持ち合わせた名曲。最後ペイパー・ムーンは、スタンダードながらショーターに解体され、甘さが排され元曲の良さが消え、単なる新主流派曲になっている。全体としての評価の分かれる盤(hand)
1959年から60年にかけては、ジャズ・メッセンジャーズのメンバーが頻繁に入替っている。名曲Dat Dareを引っ提げてボビー・ティモンズが復帰。しかしキャノンボールの「ゼム・ダーティ・ブルース」でもこの曲は一か月前に録音している。新メンバー、ウェイン・ショーター色が濃くなる時期で、アルバム全体としてはショーターの曲が多く、ラストのPaper Moonも従来型のスタンダード編曲ではない意表をついたものだが、ティモンズの参加により新旧のイメージがモザイク様に交錯している。(しげどん)
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b), Art Blakey(ds)
60年4〜6月のジャズ・メッセンジャーズのバードランドの演奏の海賊盤ながら音がいい。JMのライブ演奏からモーガンの活躍したものを集めたと思われる内容でモーガン好きには隠れ名盤だと思う。キャノンボール・バンドからの持ち帰り曲ティモンズ曲②ジスヒア、⑥ダットデアがいい感じ。ショーターもキャノンボールのファンキー曲をやるのだ。ソロはファンキーではないが、後年ウェザーでザビヌルと組むのも自然の流れだったのかもしれない。モーガンは、ファンキー曲は大得意で、ノリノリのプレイをしている。(hand)
1960年4月25日
Vee Jay
おすすめ度
hand ★★★☆
Lee Morgan(tp),Frank Strozier(as),Wayne Shorter(ts),Bobby Timmons(p), Bob Cranshaw(b),Albert "Tootie" Heath,Louis Hayes(ds)
再度VeeJayからモーガン&ショーターにアルトのフランク・ストロジャーを加えた誰がリーダーか不明確な盤。ショーター3曲、モーガンとティモンズが1曲ずつのオリジナルで全5曲。演奏はいいが、特段いいと思える曲がないのが残念な盤。ストロジャーがキャノンボールっぽいなーと思いながら聞いていると、何とライナーをキャノンボールが書いている。VeeJayに録音はないが、何か関係はあるのだろう。(hand)
1960年6月4日,9月11日,10月28日,11月5日
Fresh Sound
おすすめ度
hand ★★★
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons,Walter Davis Jr.(p), Jymie Merritt(b), Art Blakey(ds)
60年のJMのバードランドの4回のライブからの7曲。①レスターレフトタウンのみ6月でピアノがウォルター・デイビス。他6曲は9〜11月でティモンズがキャノンボールから復帰している。モーガンはJM3年目となり安定している。ショーターも加入から1年が経ちバンドの中心となりソロも豪快になっている。同時期の海賊盤「アンフォゲッタブル・リー」に比べると音が悪い。(hand)
Curtis Fuller(tb),McCoy Tyner(p),Wilbur Harden(tp),Yusef Lateef(ts, fl),Lee Morgan(tp),Jimmy Garrison, Milt Hinton (b),Bobby Donaldson, Clifford Jarvis (ds)
フラー盤は「イマジネーション」の次作が「イメージス」で、本気かよ?という安易なタイトル付けで、どちらがどちらか分からなくなる。ただ、この盤ではゴルソンと分かれ、テナー&フルートでユゼフ・ラティーフを迎えている。キャノンボールのバンドはこの2年後にユゼフの加入で急にオリエンタルな雰囲気に変わったが、ここでのユゼフはソロは個性的ではあるが、バンドカラーを塗り変えるまでは強烈に個性を発揮していない。コルトレーンとの共演で知られるウィルバー・ハーデンがモーガンとともに参加している。タイナーのピアノはいい。(hand)
全曲がフラーのオリジナルで、音楽監督としてバンドを仕切ろうというやる気満々の一枚。ユーゼフ・ラティーフが入った三管で、彼は後年のようなどろどろした個性はまだないが、フルートの味でかなり違ったイメージの一枚になっている。マッコイ・タイナーのソロ部分はかなり時代を先取りした新しさも感じる。フラー氏が仕切っているという明確な方向性はあまり感じないが、全体的には悪くない。ジャケットデザインはサボイらしい古臭いダサいデザインで、ここまでくると郷愁さえ感じる。(しげどん)
1960年8月7日,14日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★☆
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b), Art Blakey(ds)
①チュニジアは、昔聞いて、モーダルで予定調和的なアレンジが好きになれなかった。改めて聞いても印象は変わらない。やはりこの曲は破天荒な感じの演奏が合うと思う。②標準的なハードバップ。③ティモンズ作の新しいタイプのファンキーな感じの曲。サイドワインダーに通じていく感じである。④⑤モーガンの2曲は、いずれも標準以上の出来。(hand)
JM作品としてはモーニンなどに次ぐ有名作だが、冒頭の「チェニジア」があんまり良いと思えず、傑出した作品とは思えなかった。タイトル・チューンよりもモーガン、ティモンズのオリジナルの諸作が聴きどころでティモンズのSo Tiredは好きだった。モーガンもオリジナル3曲を提供している。オリジナル曲をタイトルにして欲しかった。(しげどん)
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b), Art Blakey(ds)
「チュニジア」の同時の60年の録音だが発表は67年。チュニジアは翌年発表なので、残り物なのかもしれない。実際、聞いてみてどうか?キラーチューンはないが、演奏のクオリティは高い。①ライクサムワンインラブを冒頭に聞くと、コルトレーンの「ラッシュ・ライフ」を思い出してしまう。何だか演奏の雰囲気も似ているような気がする。②ジョニーズブルースもなかなかいい曲だ。(hand)
同日録音の「チェニジアの夜」にはショーターのオリジナル曲が一曲もないが、この盤はB面3曲が全部ショーターのオリジナルで、ショーター色が強い一枚と言える。確かにB面は従来のJM路線とは違う新しい雰囲気はするが、極端に新主流派がかってもいないので違和感はなかった。でもA面2曲目のモーガンの曲Johnny's Bluesのようなコテコテ感の曲を一曲目にしたほうが、アルバムの印象は強まったかも知れない。(しげどん)
1960年9月14日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b), Art Blakey(ds)
アットザコーナーにたどり着く人も少ない中、さらに少ないのが、このミートユー。スリーブラインドになると完全モーダル好きな別の人が聞き始めるので、ミートユーはショーターは入ったが、曲は従来のまま。ということで秘境盤となっている。だが、聞いてみると、決して悪くない、他の盤が歴史的名盤過ぎなのだ。ライブの観客が従来型のJMを期待するので、ショーターもハードバップをやるしかない状況が私には嬉しい(笑)(hand)
本来はアナログVol.1、vol.2の2枚盤ライブ。これも中々の良品で、モーガンのソロに関しては前作に近い良い感じを維持。ウエインショーターはこの時点ではJMの主導権を完全に握っていなかったようだが、モーガンのソロは次々変わる兄貴分に影響されているような微妙な過渡期を感じさせる。(しげどん)
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b), Art Blakey(ds)
「ストックホルム1959」というCDは2種類ある。どちらも元はドラゴンで日本盤はDIWから出ている。日本盤CDのジャケは黒赤とピンク青の2種あり、ジャケ記載のメンバー、録音月日、場所まで同じで、曲が違うだけだ。聞き比べてみると、録音も演奏も微妙に違うので調べてみた。なんと、ピンク青は1960の間違いで、1960年12月6日録音、メンバーはピアノがウォルター・デイビスではなく出戻ったボビー・ティモンズで、ゴルソン曲⑤アロングケイムベティではティモンズらしいソロをとっている。 内容は、同時期のライブと変わらないが、⑥チュニジアは、スタジオ盤よりも拍子木のような音が弱く聞きやすい。1987年に発売以来、再発されていない模様なので、再発時は修正してほしい。(hand)
1960年12月8日
TCB
おすすめ度
hand ★★★★
Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b), Art Blakey(ds)
JMは58、59、60年と3年連続して秋から冬にヨーロッパツアーをしている。ラスト60年の発掘盤は、ストックホルムのコンサート録音とこのVol.1&2からなるTCB盤が出ている。TCB盤は音もいい。内容も、モーガン、ショーターに復帰したティモンズというメンバーなので悪いはずがない。1③レスターレフトタウンはこの時期のバンドの重要曲になっていて、快演が多く、この演奏もそうだ。また、「モーニン」からの曲がティモンズ曲のモーニンが演奏されず、キャノンボール・バンドのティモンズ曲のダットデアとジスヒアが演奏されているのが面白い。ゴルソンの色を消したかったのかと想像する。キャノンボール曲もモーガンが吹くとブレイキーのドラムと相まってJMらしい曲になるのは不思議 (hand)
この後、年明け61年の正月に初来日公演を行い、日本中にモーニンの大ブームを巻き起こした。有名な蕎麦屋の出前持ちが鼻歌でモーニンというエピソードにつながる。ただし、そのモーニンは日本発売60年2月の「サンジェルマン」のモーニンだ(ブルーノートは海外でのプレスを許可していなかったので、1967年にやっと日本プレスのブルーノート盤が発売された。輸入盤は今と違って非常に高価な時代だった。)。(hand)
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