Pepper Adams おすすめCDレビュー  リーダー作① 1957~1961年

元々はデトロイターのアダムスですが、初期は西海岸を中心に活動し、57年9月頃に拠点をニューヨークに移したのではないかと思われます。ハードボイルドなアダムスのバリは、やはり東海岸が似合うようです。ミンガス・バンドで頭角を現したほか、ドナルド・バードとの双頭クインテットの結成・活躍に至ります。



BARITONE AND FRENCH HORNS / PEPPER ADAMS = Dakar / John Coltrane

①-⑥:1957.4.20

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★★

①-⑥:Pepper Adams(bs), Cecil Payne(bs:1-3,5,6), John Coltrane(ts), Mal Waldron(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)

バリトーンズを前半に収録したアダムスの初リーダー的な録音

この盤のジャケの一番上にアダムスの名があるのでアダムス名義の盤として整理されることがあるが、アダムスが入っているのは前半のバリトーンズの部分だけで、後半のフレンチ・ホルンズには入っていない。両方とも入っている人はいない。バリトンが前半2人、フレンチ・ホルンが後半に2人入っている盤だ。前半は、プレステッジ・オールスターズで、テディ・チャールズがプロデュースしたセッション。コルトレーン名義の「ダカール」として、後半は「カーティス、フラー&ハンプトン・ホーズ・ウィズ・フレンチ・ホルンズ」としても出されている。前半には、アダムスの他にセシル・ペインのバリトンも入っていて聞き分けが難しいが、④ヴェルベット・シーンのみはペインが抜けてコルトレーンとアダムスのバラードとなる。この曲を聞けばペインに比べエッジが立っているのがアダムスだとわかる。黒人のペイン以上にアダムスの方が黒っぽく感じ、破壊力のあるバリで好感が持てる。アダムス曲②メアリーズ・ブルース、⑤ウィッチズ・ピットが2曲入っているので、リーダーとして整理されることがあるのだと思う。(hand)



PEPPER ADAMS QUINTET

1957.7.10

Mode

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★

ショーン   ★★★★☆

Pepper Adams(bs), 

Stu Williamson(tp), Carl Perkins(p), Leroy Vinnegar(b), Mel Lewis(ds)

アダムスの正式な初リーダー盤

「バリトーンズ」が共同名義だったので、単独ではこれが初リーダー盤となる。モードレーベルの一連のイラストジャケの一枚として出されている。1930年生まれのアダムスは26歳だ。トランペットのスチュ・ウィリアムソンが入って2管だが、バラードの④マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブは、アダムスのワンホーンで演奏される。アダムスのバリは、エッジは立っているがワイルドになり過ぎず、甘口になり過ぎないいい感じになっている。スウェーデンではペッパーなので唐辛子ジャケで発売されている。モードは、1957年にハリウッドで立ち上げられ約1年活動したレーベル。やはりウエストコーストの香りがして、ハードボイルドなアダムスを捉えるには至っていない。(hand)

モード盤らしい空気を感じるアレンジで、冒頭からウエストコースト的な雰囲気を感じる作品。このようなウエストコースト的な雰囲気は好きだが、アダムスの本質はこのようなサウンドではないと思う。アルバムとしてはいい作品だが、ソロイストとしてのアダムスの本領はまだあまり発揮されていない印象を受ける。(しげどん)

「ちゃんとしてる」ジャズである。ペッパーアダムスのバリトンサックスは、スムーズでクセもなく、すーっと身体に染み込む。トランペットもピアノも然り。真面目だ。穏やかな一日の終わりに聴きたいアルバム。(ショーン)



CRITICS' CHOICE / PEPPER ADAMS

1957.8.23

World Pacific

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★★☆ 

Pepper Adams(bs), 

Lee Katzman(tp:1,3-6), Jimmy Rowles(p), Doug Watkins(b), Mel Lewis(ds)

ウエストながらイーストの風を感じる名盤

ワールド・パシフィックという西海岸レーベルからのリーダー盤ながら、イーストのハードバップ盤の感じがする。録音はロサンゼルスだが、東海岸を感じる音だ。トミフラの①マイナー・ミスハップなど選曲のせいか、メンバーのせいかわからないが、きっとその両方のせいだろう。特にダグ・ワトキンスのベースが東海岸を色濃く感じさせる音なのだろう。アダムスと同じデトロイターだが、既に20歳の1954年にはニューヨークに進出している。別テイク前のラスト曲、サド・ジョーンズ作の⑥5021は名曲で、トミフラ盤「バラード&ブルース」や「コンファーメーション」にも入っていて、特に前者は私の愛聴盤だ。この曲がコンボでやっても名曲だとわかった。CDには⑦フォー・ファンキー・フォークが収録されている。元々はワールド・パシフィックのオムニバス盤「ブローイン・ザ・ブルース」に分散収録されていた同時期(10日前)の録音。フォー・ファンキー・ピープルと誤記された盤がある(私の所有するマイティ・クイン盤)。この日の録音は、まだ3曲が未発表ある。この3曲には、テナーでハービー・スチュワードが入っている。是非、発掘してほしい。(hand) 

クールで端正なマリガン、保守的にメロディアスなチャロフに対し、アダムスはハードバップ的にバリバリ吹くのが彼の真骨頂ではないかと思う。この作品はそのような彼の良さが良く出始めていている。フリーキーには流れていないこの時期の典型的なハードバップ作品という感じで、愛聴に値するとても聴きやすいいい作品だ。(しげどん)

いきなり管楽器のハーモニーで力強く駆け上がるスタート。緩急織り交ぜた曲構成は聴く者を惹きつける力を持つ。ややもたつき気味なところもあるペッパーだが、それも味だ。(ショーン)



THE COOL SOUND OF PEPPER ADAMS

1957.11.19

Regent → Savoy

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Pepper Adams(bs), 

Bernard McKinney(Euphonium), Hank Jones(p), George Duvivier(b), Elvin Jones(ds)

ハードなアダムスのクールな盤

アダムスのサボイからのリーダー盤。元盤はリージェント。私がアダムスに求めるのはハードボイルドなホット・サウンドなので、タイトルもジャケも違う気がする。エルビンやデュビビエのお陰で、多少、ホット感が出ているのは救いだ。ユーフォニアムのバーナード・マッキニーがトロンボーンライクなサウンドを出している。(hand)



THE PEPPER - KNEPPER QUINTET / PEPPER ADAMS & JIMMY KNEPPER

1958.3.25

Metro Jazz

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★★☆  

Pepper Adams(bs), Jimmy Knepper(tb),

Wynton Kelly(p), Doug Watkins(b), Elvin Jones(ds)

低音コンビのペッパー=ネッパー・クインテット

ミンガスつながりなのか、低音コンビがフロントのペッパー=ネッパー・クインテット。なかなか食指の動かない組合せで、ジャケもそれほど魅力的ではない。ただ、聞いてみると、それほど悪くないし、むしろ、なかなかいい。ミンガスほどの緊張感はないが、そのぶん2人ともくつろいだ伸び伸びとしたソロになっている。ケリーの参加も嬉しく、ワトキンスとエルビンもいい。⑥では珍しいケリーのオルガンが聞かれる。あまり知られていないが、良質なハードバップ盤だと思う。なお、Fresh Sound盤はLPと同じ7曲だが、American Jazz Classicsというレーベル盤にはオマケ3曲が入っている。ただ、これはサボイのソニー・レッド入りの盤「ジャズ・イズ・バースティング・オーバー」と「2アルトズ」収録の3曲と同じものだ。2024年8月1日猛暑の午後に聞いているが、冷房の中で、破壊力のある低音コンビの2人の音が快適に感じられる。(hand)

セールスを意識すれば、名盤請負人のウイントン・ケリーのケリー節が全開の感じなので、この点だけでも一聴の価値がある作品だとアピールするべきだと思う。リズムセクションも完全にウエストコースト派から離れたハード・バップ作だ。彼のソロの個性は際立っているが、デビュー作からアルバム作品としては一作づつ方向を模索しているようにも思える。(しげどん)

トロンボーンとバリトンサックス、ノリが良いのに落ち着きがある、そんな大人のコンピネーションが素晴らしいアルバムだ。そこはウィントン・ケリーのピアノが大きく貢献している。メロディアスであり叙情的なお膳立てをしているのだ。オルガンの評価は分かれるかもしれないが、私はアリだ。(ショーン)



10 TO 4 AT THE 5 SPOT / PEPPER ADAMS

1958.4.15

Riverside

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★

ショーン   ★★★★    

Pepper Adams(bs),

Donald Byrd(tp:1,3-5), Bobby Timmons(p), Doug Watkins(b), Elvin Jones(ds)

バード=アダムス5の初盤と言えるライブ

バードとアダムスは、グリフィンの「セクステット」で共演後、この双頭のクインテットを結成し、しばらく活動することになる。この盤は、クインテットの初盤と位置付けられるライブだ。クインテットには、バード=アダムス的な盤とアダムス=バード的な盤があるが、この盤はクレジットどおり後者的な盤だ。②ユー・アー・マイ・スリルは、バードが抜けて、アダムス4になっている。③ザ・ロング・ツー/フォーという変わったタイトルの曲がハードバップ的には一番カッコいいように感じたが、「オフ・トゥー・レイシス」(58年12月)のタイトル曲と同曲だった。「バード・イン・パリVol.2」(58年10月)のアット・ジス・タイムとも同曲だが、最終的にオフ・トゥー・ザ・レイシスになっている。3枚に共通しているのはバードだけで、アダムス、ワトキンス、アート・テイラーが各2枚だ。加持顕さんのホームページにより、この曲がエルビンの自作曲ケイコズ・バースデー・マーチとされ、エルビン盤「プッティン・イット・トゥゲザー」に収録されていると知り、聞いてみたところ、加持さんの言うとおり、ほぼ同じ曲だった。この盤は、アダムス、バードの2人のフロント、そしてティモンズ、ワトキンス、エルビンというリズム隊3人も勢いがあり、聞いていて気持ちいい盤だ。ティモンズは④ハスティング・ストリート・バウンスで多少ファンキー感は出ているが、他はあまりファンキーなピアノになっていない。(hand)

10時から朝の4時までやっていたというライブの熱気が素晴らしい。やはりスピーカーに対峙して聴くとアダムスの音量も伝わってライブらしい、いい感じなのだ。共演のバードだけでなく、リズムセクションも一流揃いのライブの佳作。(しげどん)

ドナルドバードのトランペットはそれなりにキレもあり素晴らしいが、全体としてはやや大人しい演奏に終始している。暖機運転のまま終わってしまった感のあるライヴ。それぞれの曲のメインフレーズが単調なせいだろうか?(ショーン)



MOTAR CITY SCENE / PEPPER ADAMS etc

1960.11中旬

Bethlehem

おすすめ度

hand      ★★★☆

Pepper Adams(bs),

Donald Byrd(tp), Tommy Flanagan(p), Kenny Burrell(gr), Paul Chambers(b), Lewis Hays(ds)

ジャムセッション的なバード=アダムス盤

デトロイト出身ミュージシャンによるオールスター・ジャム的な盤。アダムス名義とされることが多い盤ではあるが、バード=アダムス盤と捉えることができると思う。バードのワンホーンがメインの10分超の長尺曲①スターダストから始まるので、アダムス名義??という感じは多少する。②フィルソン、④リベッチオ、がアダムス曲であり、ジャケの最上部に書かれているのがアダムスなので、アダムス名義に整理されることが多いと想像する。①以外は、メンバー全員がソロを回すプレステッジ的なジャムとなるが、アダムスのソロも含め悪い感じはしない。ユナイテッド・アーチストにサド・ジョーンズの同タイトル盤があり、トミフラとチェンバースも共通で紛らわしい。本盤のラスト⑤にサド・ジョーンズ曲が入っているのも紛らわしさを増している。ならばいっそのこと、ということで、両盤を2in1にした盤Moter City Scene Complete Recordingsという盤がチェンバース&トミフラ名義でスペインのフェニックスというレーベルから出ている。(hand)



THE SOUL OF JAZZ PERCUSSION / V.A.

1960 Spring

Warwick

おすすめ度

hand      ★★★☆

①-③:Donald Byrd(tp), Pepper Adams(bs),

Bill Evans(p), Paul Chambers(b), 'Philly' Joe Jones(ds), Earl Zindars(tympani)

パーカッションをめぐるオムニバス盤にビル・エヴァンス入りのバード=アダムス5が参加

ワーウィックという超マイナー・レーベルから出た、パーカッションをめぐるオムニバス盤で、アダムスは全9曲中の冒頭の3曲に入っている。①-③は、バード=アダムス5+パーカッションで、なんとピアノがビル・エバンス、ベースがチェンバース、ドラムがフィリーというすごい面々で、パーカッションが作曲家で知られるアール・ジンダースだ。2曲はワイルドな演奏で、1曲マルの③クワイエット・テンプルはしみじみした、なかなかいい演奏だ。(hand)



OUT OF THIS WORLD / PEPPER ADAMS = DONALD BYRD QUINTET

1961.3.2

Warwick 

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★☆

ショーン   ★★★★★

Pepper Adams(bs), Donald Byrd(tp),

Herbie Hancock(p), Raymon Jackson(b), Jimmy Cobb(ds), Teddy Charles(vib)

ハンコックが初参加したアダムス=バード盤

とにかくカッコいい盤。名盤と言っていいと思う。バード=アダムスではなく、アダムス=バード名義だが、2人ともそれには関係なくいつものコンビネーションで演奏している。アダムスに注目して聞いてみると、エッジの立ったハードボイルドでカッコいい演奏をしていおり、バードの回より☆を追加することにした。新人ハンコックの加入も盤のクオリティを高めている。タイトル曲①はもちろんいいが、バード曲②クロスがファンキーなハードバップでカッコいい。デビュー録音のハンコックは、ややエバンス的なピアノで、カッコよさに貢献している。ベースはレイモン・ジャクソン、ドラムはジミー・コブ。③のみバイブでテディ・チャールズが参加。メンバーがいいだけでなく、曲もいいので、とてもいい盤に仕上がっていると思う。2010年発売のフレッシュサウンド盤は、未発曲おいらは老カウボーイ、が入ってはいるが、曲順がガラガラポンされてしまったのは共感できない。やはり冒頭はアウト・オブ・ジス・ワールドから始まるのがいい。老カウボーイは、ハンコック名義にして、テープを切り貼りしてしまった盤「ジャミン・ウィズ・ハービー」に唯一ハサミなく収録されていた曲だ。(hand)

ドナルド・バードとは3年ほどレギュラーで活躍しており、ブルーノートにも作品が多く残されている。ハービー・ハンコックの入った盤もブルーノトのLTシリーズであり、この作品でおまけ音源になった「老カウボーイ」も、そのLTシリーズ「Chant」でも演じていた。テーマ曲は録音にエコーがかかり凝りすぎな印象だが、全体的には普通にスタンダードも多く交えたハードバップ盤。逆に強い印象は残らなかった。(しげどん)

冒頭のアウト・オブ・ジス・ワールドから、ドナルド・バードの語るような情緒溢れるトランペットと、ペッパー・アダムスの力感のある豊かなバリトンの響きがメロディアスに交差して、独自の世界を作っており素晴らしい。アルバムを通して、どの曲も完成度は高く、寛ぎを感じることができる秀逸盤だ。(ショーン)



COMPLETE LIVE AT JORGIE'S 1961 / DONALD BYRD & PEPPER ADAMS

1961.6.24

Solar

おすすめ度

hand        ★★★★☆

Donald Byrd(tp), Pepper Adams(bs), Herbie Hancock(p), Cleveland Eaton(b), Teddy Robinson(ds)

ハンコック入りバード=アダムス5のライブ盤

ミズーリ州セントルイスのクラブ、ジョージーズでのライブ。メンバーは、ハンコック、ベースのクリーブランド・イートン、ドラムは「チャント」にも参加のテディ・ロビンソン。今回、アダムスに着目してあらためて聞くと、インプロバイザーとしてのアダムスが大活躍している盤だと再認識した。「アウト・オブ・ジス・ワールド」と同様に、ハンコックと組んだアダムスはとてもいいソロをとると思う。バードの回+★にした。(hand)