Pepper Adams おすすめCDレビュー  リーダー作③ 1977 ~ 1985 年

アダムスの短い生涯の後期・晩年にあたる時期の録音です。熱いソロが聞かれるソロリーダー盤のほか、特定の相手とのコラボレーション盤があります。最後は、体調不良だったようですが、演奏からはそんなことが微塵も感じられない、最後まで熱かったアダムスの素晴らしさが感じられます。


LIVE (Live In Douglas) / PEPPER ADAMS

1977.9.18

Just Jazz

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★★☆ 

Pepper Adams(bs),

John Marabuto(p), Bob Maize(b), Ron Marabuto(ds)

アダムスの熱いワンホーン演奏盤

「ライブ」(ライブ・イン・ダグラス)は、海賊的な超マイナーレーベルの盤で、米カリフォルニア州ハーフムーンベイのダグラス・ビーチハウスでの録音。単なる「ライブ」は、タイトルとしてひどすぎると思う(ジャスト・ジャズからは、フレディ、ブルー・ミッチェルなども「ライブ」が出されている)。ただ、内容はとても素晴らしく、エンヤ盤「ジュリアン」の紹介文に書かれていた『カミソリ並みの切れ味でバリバリと切れ込むアダムス』は、この盤にこそ似合っていると思う。勢いのある熱い演奏が好きな私には、「ライブ・イン・ヨーロッパ」に次ぐライブだと思っている。特に②身も心も、は迫力がある。ラスト⑤ブルース・アウトは短いが、私好みのベースから始まるカッコイイ演奏だ。(hand)

冒頭からパーカーの曲で始まるが、マリガンやチャロフと違って、バリトンをバップ的にバリバリ吹くのがアダムスの真骨頂だと思うので、このようなバップチューンは彼の魅力をよく表現していると思う。「Bossa Nouveau」は、より熱く演奏されている。(しげどん)

ゆったりとした時を感じる大人の演奏。特にバラードは、メロディアスなピアノと畝るベースラインのサポートにより、完成されたハイレベルで聴き応えのある曲に仕上がっている(ショーン)



LIVE IN EUROPE / PEPPER ADAMS

1977.11.4

Impro

おすすめ度

hand        ★★★★★

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★

Pepper Adams(bs),

Georges Arvanitas(p), Jacky Samson(b), Charles Saudrais(ds)

インプロバイザー、アダムスが詰まったワンホーン盤

私の唯一の5★盤。軽やかに①ボサ・ヌーボーから始まる。オープニングらしい、いい感じだ。アダムスがワンホーンに目覚めた時期なのかもしれず、素晴らしいソロの連続で、インプロバイザーとしてのアダムスを聞くのに最適の盤に思える。曲が少ないのも、まとまりを感じるのかもしれない。仏ボルドーのアルハンブラという店でのライブのようで、ロリンズ のバンガード盤のように、アダムスのボルドー盤あるいはアルハンブラ盤として楽しむことができるのではないかと思う。タイトルは、前作「ライブ」に比べれば多少マシだが全く工夫がないのは同じ。ただ、両盤ともに、演奏内容はとてもいい。特にこちらは前作よりも音がいい。(hand)

これもワンホーンによる熱いライブ。「Bossa Nouveau」がこんどは冒頭に来ている。彼の作品は前期のドナルド・バードなど有名どころと共演した盤が有名で、後期のワンホーンのライブは軽視されてきたきらいがあるが、オリジナル曲と編曲に凝った作品以上に、このような録音は彼らしく好ましく感じる。(しげどん)

滔々と演奏しているが、メリハリもなく、ハッキリ言ってつまらない。楽譜の空間を全て埋めるようなアドリブが、そう思わせるのか。もう少し余韻を感じさせる吹き方があるのでは?と素人感覚で思ってしまう私が悪いのだろうか?(ショーン)



BARITONR MADNESS / NICK BRIGNOLA & PEPPER ADAMS (LP)

1977.12.22

Bee Hive

おすすめ度

hand        ★★★★   

Nick Brignola(bs:A1-B2), Pepper Adams(bs:A1-B1),

Ted Curson(tp:A2,flh:B1), Derek Smith(p), Dave Holland(b), Roy Haynes(ds)

ニック・ブリグノラとの2バリ盤

「アルト・マッドネス」、「テナー・マッドネス」は聞く気になる人も、「バリトン・マッドネス」まで聞きたいと思う人はまずいない、あるいはいても少数派ではないかと思う。ここでは、後輩のニック・ブリグノラのリーダー盤にアダムスがゲスト参加の形だが、実際にはジャムだったと「A DAY IN THE LIFE」さんのブログを見てわかった。1936年生まれのブリグノラは、30年生まれのアダムスと6歳しか違わないが早くから活躍したアダムスに比べてかなりの後輩に思えてしまう。①ドナ・リーは、バリでここまでやる?というくらい高速の超絶バトルで圧巻だ。(hand)



REFLECTRY / PEPPER ADAMS (LP)

1978.6.14

Muse

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★☆ 

Pepper Adams(bs), George Mraz(b), 

Roland Hanna(p), Billy Hart(ds)

ベースのジョージ・ムラーツとの共作的な盤

未CD化。「Pepper Adams / Reflectory」がジャケ表記なのだが、PCに取り込むと、「Pepper Adams With George Mraz / Reflectory」となり、元々は共同リーダー盤として制作されたものかもしれない。というのも、他の盤に比べ、最初からムラーツのベースに存在感がある。紳士的な技巧派と思っていたムラーツからアグレッシブな面をアダムスが引き出したのか、2人のバトルと協調が楽しめる好盤に仕上がっている。ピアノのハナと、ドラムのビリー・ハートは、一歩下がっている感じがする。アダムスとムラーツには、協調と緊張関係の両方が感じられる。そして、負けず嫌いのアダムスが久しぶりに「ナイフ」のような尖って鋭利なソロを吹いていると思う。(hand)

この作品もワンホーンで、彼のオリジナル中心にこだわった作りの作品だ。オリジナル曲は彼の知的な一面を覗かせるこだわった曲調で、このような向き評価する方もいると思うが、私はシンプルにノリノリなアダムスのソロのほうが好きだ。(しげどん)



BE-BOP? / PEPPER ADAMS & BARRY ALTSCHUL

1979.6

Musica

おすすめ度

hand        ★★★★   

Pepper Adams(bs), Barry Altschul(ds),

Jean-Pierre Debarbat(ts), Siegfried Kessler(p), Jacques Vidal(b)

ドラムのバリー・アルトシュルとの共同リーダー盤

フリー系のドラムのバリー・アルトシュルとアダムスの共同リーダー盤。ビバップにクエスチョンのついたタイトルなので、ビバップを解体したフリー気味な演奏を想像した。聞いてみると、意外と聞きやすいオーソドックスなモダンジャズだが、ドラムの激しさ、特にシンバル音が新鮮だ。調べてみると、アルトシュルは、元々はヨーロッパのフリー系ドラムというわけではなく、アメリカ出身でチャーリー・パーシップに師事したらしい。通常のモダンジャズの録音もいくつか行っていて、いつか聞いてみたい。アダムスは、仏?テナーのジャン・ピエール・デバーバット?に誘われて参加した急ごしらえのセッションだったようだが、それはそれでなかなかいい内容になっているように感じるからジャズとは不思議な音楽だ。(hand)



LIVE IN ALBANY / PEPPER ADAMS

1980.2.10

Jazz On Jazz

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★   

Pepper Adams(bs),

Lee Shaw(p), Mike Wicks(b), Stan Shaw(ds)

地元リー・ショー・トリオをバックにスタンダードを中心に演奏

米ニューヨーク州オールバニーでのワンホーンでのライブ。サポートはリー・ショーのピアノトリオ。海賊音質だがそれほど悪くない。アダムスと地元ミュージシャンの顔合わせは、必然的にスタンダードの割合が高まる(オリジナルの割合が低くなる)。アダムスの吹くスタンダードが好きな私には、オリジナルなしのこういう盤の評価が高くなりがちだ。(hand) 

良く知られた曲ばかりなので、気楽に吹いているという見方もできるかもしれないが、そのような死産帯のアダムスが好きだ。チャーリー・パーカーの名曲、スクラップル~など、ほかのバリトン奏者はあまりやらないと思う。(しげどん)



THE MASTER / PEPPER ADAMS

1980.3.11

Muse

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★

ショーン   ★★★★ 

Pepper Adams(bs),

Tommy Flanagan(p), George Mraz(b), Leroy Williams(ds)

トミフラを迎え、落ち着いたワンホーン盤

ピアノにトミフラを迎えたワンホーン盤。ムラーツ、リロイ・ウィリアムスとリズム隊は、これまでの中で最高レベルだ。トミフラは昔から名盤請負人と言われてきたが、80年代になってもその名を裏切らない。ザ・マスターというより、ザ・マエストロとでもいうべきジャズ名人会のような盤だ。アダムスの後期を代表する盤だと思う。アダムスの荒々しい熱量は多少弱まるかもしれないが、盤の格調のようなものが一気に向上した感がある。アダムスには申し訳ないが、私は、オリジナルよりもスタンダードを演奏するアダムスが好みで、この盤はオリジナル4曲、スタンダード2曲と、全曲オリジナルではないところもいいと思う。ところで、アダムスには「ザ・マスター」という盤が2種類ある。1つはこのミューズ盤。もう1つがCamdenから出ている2枚組CDで、こちらは「ザ・マスター」に「リフレクトリー」と「ジェネレーションズ」のアダムス入り4曲を収録し、アダムスのミューズ録音をコンプリートしたお得盤になっている。(hand)

アダムスのメロディアスな側面がよく出た、重鎮に囲まれて大人しくも落ち着いた雰囲気の一枚で、聴き込むほどに味わいはある作品と思うが、バリバリ吹きまくる彼のテイストはやや抑えられた感じのする作品。(しげどん)

このアルバムも特徴に乏しく、聴いていても印象に残らない。さらりと右から左へ流れてしまうような演奏だ。リズムが一定だと、特にメリハリがなく、盛り上がりがなく、聴きどころが掴めないアルバム。(ショーン)



URBAN DREAM / PEPPER ADAMS

1981.9.30

Palo Alto →

Quicksilver

おすすめ度

hand        ★★★★

Pepper Adams(bs), 

Jimmy Rowles(p), George Mraz(b), Billy Hart(ds)

バッパーとしてのアダムスに焦点をあてた盤

ジミー・ロウルズ、ムラーツ、ビリー・ハートを従え、デクスター・ゴードン曲からスタートする、まさにアダムスがデックスになったような盤だ。アマゾンの内容紹介には、ペッパー”ザ・ナイフ“アダムスと書かれている。ナイフのようなエッジの鋭さを言っているのだろう。バリは大きな楽器なので、私にはナイフというよりもナタとか斧のような刃物がアダムスには相応しいのではないかと思う。この盤に限っていえば、バッパーとしてのアダムスに焦点をあてた感じで、速いフレーズなど、あまり刃物的なエッジは感じない。ビバップ好きの私には好ましいワンホーン盤ではある。(hand)



CALIFORNIA COOKIN' / PEPPER ADAMS

1983.3.26

Interplay

おすすめ度

hand        ★★★★☆

Pepper Adams(bs), 

Ted Curson(tp), Victor Feldman(p), Bob Magnusson(b), Carl Burnett(ds)

テッド・カーソンとの2管ライブ

テッド・カーソンとの2管での米カリフォルニア州、オレンジ・コースト・カレッジでのライブ。日本の妙中プロデューサーのインタープレイ盤。その後、日米の別レーベルからタイトルはそのままにジャケ違いの3種類の盤が出ている。インタープレイ盤は、内容が良くても、ベース音がゴムのような音色に私には聞こえて、残念な印象を持つものが多い。この盤のボブ・マグヌッセンもそう聞こえてしまう。(hand)



CONJURATION = Live At Fat Tuesday's / PEPPER ADAMS

1983.8.19 & 20

Uptown →

Reservoir

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★

Pepper Adams(bs), 

Kenny Wheeler(tp,flh), Hank Jones(p), Clint Houston(b), Louis Hayes(ds)

ケニー・ホイーラーとの2管ライブ

ニューヨーク、ファット・チューズデイズのライブ。アダムスのクインテット録音は、トランペッターと組んだものが多いと思う。バード、サド、カーソンなどオーソドックスな人(ややカーソンはフリー寄りのプレイもする)が多いが、もっとずっとフリー寄りの英トランペッターのケニー・ホイーラーが今回の相方だ。ただ、この盤では、意外にもオーソドックスなプレイをしている。そして、ハンク・ジョーンズの参加も盤の格調を高めている。アダムスのリーダー盤は、(売れないと思われるのか、あるいは本当に売れないのか)発売されるレーベルは超マイナーなものが多い。ミューズなどはアダムス的にはメジャーレーベルだと思う。弱小レーベルの問題点は、一度出されてもカタログ化せず一回限りとなり、権利(守られているかも不明)が移って他のレーベルからタイトルもジャケ写も変わって出ることが多々あるということだ。時には曲名や曲順が乱れてしまうこともある。この盤は、アナログはアップタウンから「ライブ・アット・ファット・チューズデイズ」、レザボアからはCDで追加4曲で「コンジュレーション」、として出ている。どちらも優良レーベルなので問題はないと思う。CONJURATIONは、知らない単語なので調べてみた。召喚、接続、呪文魔法の3訳が出てきて、どう理解すればいいのか不明だった。70年代半ばからのバップ・リバイバル時代の流れの上にある良盤だと思う。(hand)

ライブ作品だが、こだわった曲調のテイストが多く、やや難しく感じる作品だ。音楽的にはこのようなこだわった雰囲気は評価する向きもあると思う。メンバーそれぞれのソロは悪くはないと思う。(しげどん)



GENERATIONS / PEPPER ADAMS & FRANK FOSTER (LP)

1985.1.25

Muse

おすすめ度

hand        ★★★★

Pepper Adams(bs:A1-B2), Frank Foster(ts,ss:A1-3,B3,4), 

Vinnie Cutro(tp:A1-3,B3,4), James L Dean(as,ts,cl), Noreen Grey(p), Earl Sauls(b:A1-3,B3,4), Glenn Davis(ds:A1-3,B3,4) 

フランク・フォスターとの共同リーダー的な盤

フランク・フォスターとの共同リーダー盤となっている。全7曲中アダムスが入るのは①②③④の4曲(Camden盤「ザ・マスター」でこの4曲のみCD化されている)。フォスターも①②③⑥⑦の5曲で、なんと全曲に参加しているのは、ジェームス・L・ディーンという映画俳優のような名前のテナー奏者。オリジナル曲の2曲ともこの人の作なので、真のリーダーはこの人でアダムス、フォスターはゲストのようだ。ただ、売れるようにするためにアダムス&フォスター盤としたと思われる。(hand)



THE ADAMS EFFECT / PEPPER ADAMS

1985.6.25 & 26

Uptown

おすすめ度

hand        ★★★★

Pepper Adams(bs),

Frank Foster(ts), Tommy Flanagan(p), Ron Carter(b), Billy Hart(ds) 

亡くなる1年前のラスト・リーダー盤

アダムスのラストリーダー盤。56歳の誕生日の直前に亡くなっている(1930年10月8日 - 1986年9月10日)。ガンだったようだ。この盤は、死の1年少し前、85年6月25、26日ヴァンゲルダースタジオで録音している。トミフラ、ロン、ビリー・ハートというリズム隊に、「ジェネレーションズ」でも共演のフランク・フォスターが参加している。ハート以外はデトロイト人脈だ。アップタウンのプロデュースサイドはスタンダードを用意したらしいが、アダムスが拒否して、フォスター作が1曲の他はアダムスのオリジナルとなっている。アダムスの演奏したスタンダード好きの私は残念だが、意地っ張りのアダムスなので仕方ない。体調の悪さを微塵も感じさせないアダムスの覇気ある演奏だ。(hand)