レッド・ガーランドの全リーダー作をレビューしていきます。
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・Red Garland 全リーダー作 ① 1956年~57年・・・・このページ
・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年
・Red Garland 全リーダー作 ③ 1960年~62年
・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年以降
・Red Garland 全リーダー作 ⑤ 1977年以降
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
記念すべき23歳の初リーダー盤。既にスタイルを確立していて、玉を転がすようなエレガントな指使いと、ブロックゴードによる盛り上げが二大特徴で、生涯変わらなかった。マイルスを聞いてガーランドが気に入った人は、マラソン・セッションに雰囲気の近いこの盤から聞くのをオススメしたい。(hand)
この初リーダー作に初期の彼の魅力はすべて凝縮されているようだ。多くのジャズファンがガーランドを知るのはマイルスクインテットの作品だと思うが、そこでのガーランドに関心を持って、もっと聴きたいと思う向きには、この作品と次の「レッド・ガーランド・ピアノ」が最適だ。(しげどん)
叙情的なピアノが、トリオとは思えない程の音の厚みを奏でる。ベースのポールチェンバースが良い仕事をしており、単調になるのを防いでいる。時折出る耳に残る印象的なフレーズで、ガーランドらしさを感じる。(ショーン)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
第1作から4カ月後の早くも第2作。マイルス人気の影響か、ガーランド盤も売れたのだと思う。マイルス・バンドからのチェンバースと、ちょいうるさいフィリーの代わりに器用なアート・テイラーが参加。①プリーズ・センド・ミー、この時代にしては珍しく10分近い長尺。飽きさせない快演だ。ガーランドの好きな曲、やりたい曲だけを弾いたらこんな盤が出来ました!という感じだ。聞くほうも、深く考えずに、ガーランドの気持ち良さを共有すればいいのだと思う。(hand)
1曲目から力のあるブルースの演奏。ほぼ10分間の長い時間だが、それほど長さは感じられない。続いて明るくノリの良いStompin' at the Savoy、走るベースラインに軽やかに乗るガーランド。このアルバムでのガーランドは、とてもメロディアスだ。特にI Know Whyの切ないメロディには、惹き込まれる。(ショーン)
ガーランドの初期の魅力の全貌は、前作とこの一枚でつかめると思う。この作品もスタンダード集であり、前作ガーランド・オブ・レッドと似た雰囲気だ。冒頭の長めの曲がブルース・バラードというべき曲調なので、アルバム全体としてよりしっとりとした雰囲気になっているが、同じように軽快で洒落たタッチのガーランドが楽しめる。(しげどん)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
日本の過去の評論家さんたちがイチオシの超名盤とされる盤。どれだけのガーランド・ファンを減らしてしまったのかと思う。Cジャムは、アドリブ部分はそれなりにいいのだが、ブルースとしては物足りないし、エリントン曲の感じも弱い。アルバムとしては第3作ではあるのだが第2作(PRLP7086)の残り曲と後年の録音3回分からの寄せ集め作であることがわかる。ガーランドは、ブルースをブルージーに演奏するのは、決して得意ではないし、黒人的なノリ(グルーヴ)もあまりない人で、端正なピアノがウリなのだ。(hand)
冒頭の「Cジャムブルース」はガーランドの代表作として、最初に聴くべき作品として語られてきた。たしかに良い演奏だがガーランドらしい演奏ではないと思う。ガーランド・オブ・レッドなどの本当の意味での代表作をまず聴いた上でこの作品を聴けば、異色作としてそれなりに評価できる作品になれたのではないかと思う。(しげどん)
全体的に特徴に乏しい印象のアルバム。録音状態が良くないのか、やや雑然感があり、ストーリーの核が見えない。(ショーン)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
これも完全な寄せ集め盤だ。なぜか、マイルスのマラソン・セッションから掟破り再収録の①アーマッド・ブルースが冒頭だ。親分の休憩中に録ったと言われるが、緊張感のある演奏だ。②からはドラムもフィリーからアート・テイラーに変わり、くつろいだ演奏になる。ちなみに私はフィリーの暴れドラムが嫌いではない。④トゥイードル・ディーは10分超だが充実している。タイトル曲⑤は、特段どうということはない。(hand)
好調なガーランドをとらえたトリオ盤。ワーキンに収録されていたアーマッド・ブルースが再集録されていたり、データを見ると寄せ集め盤なのだが、彼のアルバムはそもそもあまり企画的な意図がないものばかりなのでそれは気にならず、気持ちよく聞き流してしまう。特に際立った特徴はないが、この時期のキラキラしたガーランドのピアノが楽しめる作品ではある。ちなみにP.C.ブルースとはポール・チェンバースの頭文字。この録音には参加しているが、このアルバム発売は1970年(録音の13年後!)なので、チェンバースの死後まもなくのことだったので、このタイトルは追悼盤の意味もあった。(しげどん)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds),Kenny Burrell(g)
2曲にギターのケニー・バレルを迎え、久々に単一のセッションからの盤だが、発表は遅く1969年。①ビリー・ボーイは、マイルスの「マイルストーンズ」でもトリオ演奏で再演しているが、私にはこちらのほうが親しみやすい。緊張感を持ってやる曲ではないと思う。③フォアと⑦ウォーキンはバレルが参加。バレルは好調だが、バップ曲よりも都会的なゆったりしたブルースがより得意なのがバレルなので、もったいない使い方だ。⑤ヘイ・ナウは、「グルービー」に入っていた曲と同一でルール違反だ。そもそもこちらのセッションからの曲だが、別テイクならまだしも、同一テイクはいただけない。ラストの⑧イット・クッド・ハップン・トゥ・ユーはなかなかいい出来だ。(hand)
ケニー・バレルの参加は二曲だけだが、どうせなら全曲バレルと組んだカルテットにした方が、アルバムとしての企画性がハッキリでて印象深い盤になったのではと思う。1957年録音ながら発売は1969年でこの当時ガーランドは半分引退の状態だったはず。Revisited(再来)というタイトルはあたかも復帰したかのような印象で売らんかなの姿勢か?一曲目のビリー・ボーイは、マイルスのコロンビアでの名盤マイルストーンズのB面二曲目にトリオで録音しているが、録音はこちらの方が先。これもコロンビア盤の知名度にあやかって冒頭にもってきたのではと勘ぐってしまう。(しげどん)
Donarld Byrd(tp),John Coltrane(ts),Red Garland(p),George Joyner(b),Art Taylor(ds)
過去の評論では、「オール・デイ・ロング」、「オール・ナイト・ロング」と三部作と言われていたが、関連性はあまり感じない。この盤以降の4枚は、ガーランドをリーダーとするコルトレーン、ドナルド・バードを迎えたクインテットの2日間のマラソン・セッションのような盤だ。①タイトル曲は、20分超の長尺ブルースで、コルトレーンの5分近いソロから始まる。意外と知られていないが、コルトレーン・ファンにはマストだ。ドナルド・バードをはさみ、ガーランドがたっぷりとソロをとる。持っている技を色々出して楽しめる内容だ。②③ともに、充実したソロで、改めて聞き、掘り出し盤だと思った。(hand)
マイルスの4部作はタイトルのつけ方からしてシリーズ化された感じだが、このガーランドのコルトレーン入りセッションは、4部作と言っていい内容なのに、バラバラなタイトルで順次発売されている。4作の中で本作が最初に発売されていて、「オール・ディ・ロング」「オール・ナイト・ロング」とともに、ジャムセッションシリーズというような意図があったようだ。長尺のブルースとスタンダードから構成された作品なので、同一日録音の「ソウル・ジャンクション」と特に雰囲気が似ている。ガーランドのいつものトリオ作品と違った雰囲気のソロもいいし、コルトレーン、バード両スターの個性を発揮したソロもやはり素晴らしく、楽しめる作品。(しげどん)
Donarld Byrd(tp),John Coltrane(ts),Red Garland(p),George Joyner(b),Art Taylor(ds)
①タイトル曲は、15分近い長尺。ガーランドのソロが延々と続くが苦痛ではない。半ば過ぎて、コルトレーン、バードが順に登場する。②③は、バード、コルトレーンが快調に飛ばす。③のガーランドもいい。④アイ・ガット・イット・バッドは、ガーランドらしいエレガントな演奏。ガーランドのマラソン・セッション的な2回のセッション、4枚の盤の中では一番目に聞くべきと思う。(hand)
「オール・モーニング・ロング」と同一日のセッションだが、三年近く以上経った1960年暮れにリリースされている。タイトルも全然違う新作のような打ち出し方で、すでにアトランティックに去ったコルトレーンのネームバリューを使ったプレスティジ特有の、売らんかな精神の表れか?でも当然ながら雰囲気は「オール・モーニング・ロング」とよく似ている。彼のソロもいいし、コルトレーン、ドナルド・バードの両人のソロも素晴らしく、彼らが主役といわれても納得できる。クンテット編成を生かした編曲というより、各人のソロを楽しむべき盤になっているが、ドナルド・バードが編曲面でもっと全体を仕切ったらもっと企画性を持った作品になったのではと思う。(しげどん)
アルバムテーマ曲soul stationであり、ゆったりとしたリズムから繰り出されるガーランドのピアノブルースは、落ち着きと安心感がある。15分以上の長い曲だが、ジョンコルトレーン、ドナルドバードが骨太に応援しているので、聞き飽きることはない。(ショーン)
Donarld Byrd(tp),John Coltrane(ts),Red Garland(p),George Joyner(b),Art Taylor(ds)
NHK朝ドラ「なつぞら」の50年代末の場面で、ジャズが好きならグレン・ミラーのレコードをかけてあげるというおでん屋の女将山口智子に対し、北海道から出てきてジャズ評論家を目指しているという青年が、今はそういうジャズではなく、ジョン・コルトレーンやレッド・ガーランドを聞くんです、と答えたので、ガーランド??と私は思ったが、このコルトレーン入りの4枚を聞いて、あの台詞も違和感ないことを確認した。脚本家・大森寿美男さんもこの辺のジャズが好きなのかもしれない(笑)。この4枚、マイルスがバードに変わったマイルス5のイメージだ。マイルスより緊張感はないが、聞いてみると意外と楽しめる。(hand)
57年11月セッション+12月13日の録音を加え、ソウル・ジャンクションのさらに一年後の1961年暮れに発売された。全曲がスタンダードナンバーで唄モノの名曲揃いだが、ジャムセッションの素材としてはアレンジに工夫がなく、前二作に比べるとやや魅力に欠けるようだ。(しげどん)
Donarld Byrd(tp),John Coltrane(ts),Red Garland(p),George Joyner(b),Art Taylor(ds)
Paul Chambers(b)
1957年なので少々ビバップ風なところが残っているのがこのセッションの残念なところ。マイルスの「ラウンド・ミッドナイト」のアー・リュー・チャみたいな残念さだ。雰囲気が数年前の曲が時々混じる感じだ。ただ、いずれにしても、メンバーは、4枚ともに好調だ。同じ楽器編成で、マイルスがバードに変わるだけで、急にのびのびした雰囲気に変わる。ソロも長いものが多く、もっと聞かれていい4枚だと思う。(hand)
この作品は57年12月のセッションに3月のカルテットでの演奏を加えさらに一曲だけ58年2月7日のトリオ演奏を収録したつぎはぎな盤。モダンジャズクラシックスと言える曲が主体だが、演奏としてはオリジナルのLazy Maeと題された長尺ブルースがいい感じ。(しげどん)
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